シリーズ『やさしいインボイスの始め方』
第4回では、インボイス対応で使えるIT導入補助金について解説していきます。条件を満たせばパソコンやタブレットも補助対象となります。
また、免税事業者からインボイス発行事業者になる場合でも、課税事業者からインボイス発行事業者になる場合でも、どちらのパターンでも使える補助金制度です。
【持続化補助金】免税事業者からインボイス発行事業者になる場合にだけ応募できる”インボイス枠”があります。 ≫ 詳しくはこちら
【IT導入補助金】インボイス対応に使える”デジタル化基盤導入枠”があります。既に課税事業者になっている場合でも応募できます。
・来年10月から始まるインボイス制度に向けて、会計ソフトやPOSレジを購入したいけど費用面が心配。。
・インボイス対応のためにパソコンも必要になりそうなんだけど、補助金対象になるかな?
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このページで分かること
■IT導入補助金をもらえる人
■補助金対象になるものと補助額(パソコンが補助対象になる条件とは?)
■申請の流れ(もらった後も報告書の提出あり)
■事前に知っておくべき注意事項
このページでは、IT導入補助金2022事務局の公式HPから集めた情報を わかりやすく、図解も使いながら説明しています。
- IT導入補助金とは?
- デジタル化基盤導入類型について
- 必ずIT導入支援事業者と協力して申請
- 申請の条件
- 補助金対象となるもの
- 補助額はいくら?
- 補助金を受けるための流れ
- 補助金の申込期限はいつまで?
- 注意すること
- インボイス関連記事
- 参考
IT導入補助金とは?
◆IT導入補助金について
IT導入補助金とは国の補助金制度です。ITツールを導入して業務を効率化したり売上アップを目指す事業者をサポートするための補助金で、3つの枠が用意されています。
1.通常枠
2.セキュリティ対策推進枠
3.デジタル化基盤導入枠
この3つの中で、インボイス対応のために作られたのが デジタル化基盤導入枠です。今回はこれについて解説していきます。
デジタル化基盤導入類型について
◆この補助金を簡単に説明すると...
この補助金をざっくり説明すると、こんな感じです↓
小規模事業者を応援するための補助金です。
もうすぐインボイス制度も始まるので、その対応に必要な費用については通常よりも多めに補助します。
ちなみに、公式ガイドブックには次のように書かれています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という。)が複数年にわたって中小企業・小規模事業者等の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」内の「IT導入補助金」において、デジタル化基盤導入類型(以下、「本事業」という)を設け、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援するとともに、インボイス制度への対応も見据えつつ、企業間取引のデジタル化を強力に推進するため、「通常枠」よりも補助率を
引き上げて優先的に支援する。
◆この補助金のポイント
この補助金のポイントは以下の5つです。
①IT支援業者と協力して応募します。例えば、飲食店をやっている事業者が単体で応募することはできません。
②会計・受発注・決済・ECの機能を持つソフトウェアを導入する場合に使える補助金です。導入する機能は1種類でも複数でもOKです。
③会計ソフトなどを導入する時に、パソコンやタブレットの購入が必要となる場合には、そのパソコンなども補助対象になります。パソコンの購入だけでは補助対象になりません。
④協力してもらうIT支援業者や、購入する物は指定された中から選びます。
⑤申請すれば全員が補助金をもらえるわけではありません。提出する計画書の評価が高い順に補助金をゲットできる仕組みです。
必ずIT導入支援事業者と協力して申請
補助金に応募する際は、IT導入支援事業者と協力して申請することになります。
この IT導入支援事業者 とは、事前に補助金事務局の審査で合格した事業者のことです。どんなソフトウェアを選べば良いか分からない申請者に対して、必要なソフトウェアの説明をしたり、補助金申請の手続きをサポートしてくれることになります。
申請の条件
法人でも個人事業主でも利用できる制度ですが、大企業は申請できません。対象となるのは小規模事業者と中小企業です。
補助金対象となるもの
補助金対象となるのは次の①~⑤です。事務局に登録されたものの中から選ぶことになります。なお、①は必ず購入する必要があります。
①ソフトウェア(会計・受発注・決済・ECの機能を必ず1種類以上含んでいること)
②クラウド利用料(最大2年分)
③導入関連費
④パソコン・タブレット・プリンター・スキャナー及びそれらの複合機
⑤POSレジ・券売機
パソコンやプリンターなどの汎用性が高い商品も補助対象となるのがこの補助金の特徴ですが、単体では補助対象になりません。必ず、ソフトウェアと一緒に購入する必要があります。
補助額はいくら?
補助額は買うモノによって異なります。
◆ITツール
ソフトウェア購入費・クラウド利用料最大2年分・導入関連費(低額部分)
補助率は3/4以内(75%を補助してもらえます)
補助額が5万円~50万円以下となる部分は、かかった費用の75%を出してもらえます。
ソフトウェア購入費・クラウド利用料最大2年分・導入関連費(高額部分)
補助率2/3以内(約67%を補助してもらえます)
補助額が50万円超~350万円となる部分は、かかった費用の約67%を出してもらえます。
◆ハードウェア
パソコン・タブレット・プリンター・スキャナー・それらの複合機
補助率1/2以内(50%を補助してもらえます)
補助上限額は10万円です。
例えば、20万円のパソコンなら10万円もらえます。
レジ・券売機
補助率1/2以内(50%を補助してもらえます)
補助上限額は20万円です。
例えば、40万円のレジなら20万円もらえます。
図も入れて まとめるとこんな感じです↓
ちなみに、導入するソフトウェアの機能が1つだけなのか、2つ以上あるのかで補助金の額が変わってきます。2種類以上の機能をもつソフトウェアを買う場合なら、50万円超えの高額補助対象になります。
補助金を受けるための流れ
ここからは申請の流れを見ていきます。
①IT支援事業者・ITツールを選ぶ
この補助金は申請者単独では応募できません。事務局が認めたIT導入支援事業者の中から、サポートしてもらうIT業者を選び、その事業者と一緒に申請を進めて行くことになります。
IT支援事業者の検索は、事務局の公式ホームページからできるようになっています。
②アカウント作成(電子申請をする時に必要)
補助金申請は電子申請になりますので、申請するときに必要となる「GビズIDプライムアカウント」を取得します。
※GビズIDプライムアカウントとは、経済産業省と中小企業庁がやっている行政サービスを利用するときに必要となるものです。アカウントの取得には2週間ほどかかるそうなので早めにやっておくと安心です。
③事業計画書を作成して申請する
協力してもらうIT支援事業者と共同で申請資料を作成し、申請します。
④交付決定通知
申請内容が認められると、交付決定通知が届きます。
④ITツールの発注・契約・支払い
計画書に沿って、ITツールを購入します。
⑤報告
計画通りにITツールの購入が完了した後、契約書や領収書などを付けて報告書を作成します。担当のIT導入支援事業者の確認後、事業者から補助金事務局へ提出します。
⑥補助金手続き
報告書の内容に問題なければ補助金が確定します。その金額を確認した後に補助金が交付されます。
⑦事業の状況を報告する
事業実施効果報告という報告書作成し、担当のIT導入支援事業者の確認を経て提出します。(提出期限あり)
図で簡単にまとめるとこんな感じです↓
以上が補助金申請の流れになります。
補助金の申込期限はいつまで?
この補助金の申込は2週間に1回のペースで締切られていて、2022年12月12日時点では第16次まで終わっています。今後の申請スケジュールは次の通りです。
【第17次の締切】2022年12月22日
【第18次の締切】2023年1月19日
【第19次の締切】2023年2月16日 ←最終締め切り
いずれの日も夕方5時が締めきりです。
注意すること
最後に、補助金申請での注意点をまとめておきます。
①補助金対象になるのは、事務局にあらかじめ登録されたITツールになります。個人で探してきたソフトウェアやパソコンが全て補助金対象になるわけではありません。
②補助金の交付が決定する前に発注したり支払ったものは補助対象外となります。必ず、補助金交付決定の連絡がきてから購入しましょう。
以上がIT導入補助金のデジタル化基盤導入類型の内容になります。
インボイス関連記事
≫ ⑧個人事業主はインボイス登録してる?(登録者数と登録率)
参考
・IT導入補助金2022公式HP