経緯
大阪府では、ゴールドステッカー制度というものがあります。ゴールドステッカーの認証基準は43項目ほど設定されており、その中でCO2センサーに関する基準も設けられています。CO2センサーに関する認証基準には、
●CO2センサーを常備していること
●各居室の中央で床から75㎝~150㎝の高さでCO2濃度を測定し、1,000ppm以下であるか確認していること。
と記載されています。
実際に飲食店に行ってみると、部屋の中央あたりに設置されていたり、来店者が良く見えるようにレジの近くにも設置していたりと、それぞれ工夫されています。
ちなみに、大阪府のホームページで紹介されている「よくある質問」を確認するとこう書かれています。
質問:CO2センサーはどの程度必要ですか?
回答:最低1台の常備をお願いします。
ですので、最低1台を部屋の中央部分に設置しておくことで認証基準を満たす事になります。無理に沢山購入する必要はありません。
この記事では、ゴールドステッカーの認証基準とは別に、純粋に店内のどこが一番換気しにくい場所(=ワーストポイント)であるか?を考えてみたくて書いています。
これは、完全に個人の趣味ですので、ご興味ある方はご覧下さい。
検証する目的
まず、CO2センサーを設置する目的をおさらいします。
設置の目的は”CO2濃度を測定することで、店舗の換気状況を把握する”だったと思います。
換気状況を把握するには、店内のどこに設置するのが妥当なのでしょうか?
店内で最も換気が行き届きにくい場所(=ワーストポイント)を見つけて、そこに設置するのが適切だと考えます。
ワーストポイントが1,000ppm以下であれば、店内のCO2濃度はおおむね1,000ppm以下であると考え、そのワーストポイントの選定方法を考えてみました。
検証手順
手順1. 準備するもの
■CO2センサー2台
⇒同じメーカーの同じ機種を準備します。台数が多い方が、一度に沢山の場所を検証できますが、その分費用もかかりますので今回は最低台数の2台で考えました。
■測定値を記録するもの
⇒自動で測定結果を記録するCO2センサーを使用するのが理想ですが、市場で販売されているものを見ると、大半が自動記録の機能がないものです。なので人力で測定値を記録します。
⇒スマホのカメラやノートなど、記録できるものなら何でも良いです。
⇒記録する内容は、測定日時・実測値・測定時の店内状況などを記録します。
手順2. CO2センサーの個体差を確認
製造メーカー・機種・購入時期が同じであれば、個体差はないと思っているのですが、念のために個体差がないか確認しておいた方が良いと思います。
もしも個体差が認められた場合は、ここで得られた結果から、補正値を設定します。
<個体差の確認方法>
(1)同じ位置に横並びでCO2センサーを設置する。
⇒出来るだけ同一条件で測定することが重要です。
(2)一定時間ごとに実測値を確認し、差がないことを確認する。
⇒1分毎に確認し、合計10分間確認します。(設定した時間に、特に理由はありません。1分毎なら記録が間に合うかなと思いました。30秒毎に確認し、合計5分間確認するとかでも良いと思います。)
<もしも個体差が認められた場合は?>
例えば、測定器Aが500ppmを表示している時に、測定器Bは550ppmをしていた場合について。
常に測定器BがAに比べて+50を示しているのなら、この後に行う検証作業では、Bに対する補正値を「-50」と設定し、測定器Bの結果から50を引いた値を検証値に使用すると良いと思います。
手順3. CO2濃度を測定する
(1)手順2で個体差を確認したCO2センサーを、検証対象とする部屋に設置します。
■設置場所
換気が悪そうだと予想される場所を選びます。
・入口や窓から最も離れた場所
・換気扇から最も離れた場所
・来客者が集まりやすい座席付近
などを選ぶと良いと思います。
■設置する高さ
設置場所が決まれば、床上75㎝以上150㎝以下のどの高さに設置するかを決めて、必ず全て同じ高さで設置します。
設置する高さについては、着席した人の口元の高さ~立ち上がった人の口元の高さの間で設定するのが、現実に即した形になると考えます。
(2)電源を入れて測定します。
設置した全てのCO2センサーの電源を入れて、数時間毎に実測値を記録します。検証実験する期間は長ければ長いほど、そのお店の傾向を表すと思うのですが、検証作業ばかりしているのも大変なので、各季節毎に1週間測定するとかでも良いのかなと考えます。
ちなみに、1日ではなく1週間とする理由は、曜日にって来客人数の変動があると考えるためです。また、季節によって暖房、冷房、換気するための窓の開け具合など、変動すると想定すると、季節ごと(春夏秋冬など)に検証してみるのも良いかなと思いました。
■検証期間中に記録する事項は3つです。
・測定日時
・各測定器の実測値
・記録した時の店内の状況
■記録イメージは下記の通りです。(注意:実際に測定した結果ではありません。例として、2日間記録したらこんな感じかな?という程度で作ってみました。)
(3)測定結果から、最もCO2濃度が高くなりがちな場所をワーストポイントとして決定します。
測定結果から、どこの設置ポイントが、CO2濃度が高くなりやすいのか見ることが出来ます。(2)で紹介した例では、測定値が高い方を赤字で記録しました。
今回の場合ですと、測定器A(測定場所:北西の柱の奥側)よりも、測定器B(設置場所:南東の角)の方が高い値を示す頻度が高いことが分かります。
なお、手順2で補正値が必要と判断した場合は補正後の値で比較します。
この結果より、このお店では、北西の柱の奥側(測定器Aを設置していた場所)よりも、南東の角(測定器Bを設置していた場所)の方がCO2濃度が高くなる傾向が認められ、そこがワーストポイントであると判断しました。
結果
検証結果より、換気状態が一番悪くなりやすいワーストポイントは南東の角であり、店舗の換気状態を管理するためには、この位置にCO2センサーを設置することが望ましいという考えに至ります。
最後に
最後までご覧いただきありがとうございました。
このような流れで設置場所を選定してみると、より適した場所に設置できるのではないかなと考えました。
趣味で考えただけですので、あくまでも通常業務とのバランスが大切だと思いますが、何かの参考になれば幸いです。。
他にも、湿度とCO2濃度の管理シートを考えてみたりしていますので、もし宜しければ
【大阪府・飲食店】ゴールドステッカー取得のために必要なこと②_CO2濃度と湿度の管理 - ヤドカリブログもご覧下さい。