緊急事態措置やまん延防止等重点措置に伴う要請により、飲食店などには酒類提供の自粛などが要請されてきました。その要請に協力した事業者に対しては協力金が支給されています。しかし、事業者の中には、「要請の対象になっておらず、協力金は支給されないが、要請対象のお店と取引しているため、売上に影響が出ている」という事業者もいると思います。
この記事では、「今まで休業などの要請対象にはなっていなかったが、関連事業者であり、売上に影響がでている」という事業者向けに国が行っている「月次支援金」について紹介します。
酒類及びカラオケ設備を提供しておらず、昼間のみ営業を行っているなど、今までの協力金の支給対象になっていない飲食店などは、給付対象になり得ます。また、措置区域の飲食店へお酒を販売している事業者の方も給付対象になり得ますので、条件を満たしているか、ご確認下さい。
月次支援金とは
2021年4⽉以降に実施された「緊急事態措置」または「まん延防⽌等重点措置」に伴う、「飲⾷店の休業・時短営業」や「外出⾃粛等」の影響により、売上が50%以上減少した中⼩法⼈・個⼈事業者等に支援金を給付し、事業の継続・立て直しやそのための取組を支援する制度です。
■中小法人:資本金等10億円未満、又は資本金等が定められていない場合は常時使用する従業員数が2,000人以下
■個人事業者等:フリーランスや主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等の方を含む
給付要件
下記の要件を2つとも満たしていれば、業種・地域を問わず給付対象となります。
■飲食店の休業・時短営業の影響を受けている事業者(1)または外出自粛等の影響を受けている事業者(2)。
⇒2021年4月以降に実施される「緊急事態措置」または「まん延防止等重点措置」に伴う要請を受け、休業または時短営業を実施している飲食店と直接・間接の取引がある。または、これらの地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けている事業者であること。
■月間売上が50%以上減少している事業者
⇒「緊急事態措置」または「まん延防止等重点措置」が実施された月のうち、措置の影響を受けて、月間売上が2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少している事業者であること。
(1)飲食店の休業・時短営業の影響を受ける事業者とは
■「緊急事態措置」または「まん延防止等重点措置」を実施している都道府県で「休業」や「時短営業」の要請対象となっている飲食店と、取引がある下記①~⑥の事業者が対象です。
■下記①~⑥の事業者は、「緊急事態措置」や「まん延防止重点措置」が実施されている都道府県以外の会社でも大丈夫です。
①食品加工・製造事業者
惣菜製造業者、食肉処理・製品業者、水産加工業者、飲料加工事業者、酒造業者 等
②飲食関連の器具・備品の販売事業者
食器・調理器具・店舗の備品・消耗品を販売する事業者 等
③流通関連事業者
業務用スーパー、卸・仲卸、問屋、農協・漁協、貨物運送事業者 等
④飲食品の生産者
農業者、漁業者等
⑤飲食関連の器具・備品の生産者
器具・備品製造事業者 等
⑥要請対象の飲食店に対して、商品・サービスを提供する事業者
接客サービス業者、清掃事業者、廃棄物処理業者、広告事業者、ソフトウェア事業者、設備工事業者 等
(2)外出自粛等の影響を受ける事業者とは
■「緊急事態措置」または「まん延防止等重点措置」を実施している都道府県内の人が外出や移動する時に利用するサービスを提供している下記⑦~⑩の事業者が対象です。
■下記⑦~⑩の事業者は、「緊急事態措置」や「まん延防止重点措置」が実施されている都道府県以外の会社でも大丈夫です。
⑦外出目的地までの移動サービスを提供する事業者
⑧外出目的地での商品・サービスを提供する事業者
⑨外出に伴う宿泊サービスを提供する事業者
<⑦~⑨の具体例>
■飲食事業者(飲食店、喫茶店等)、宿泊事業者(ホテル、旅館等)、旅客運送事業者(タクシー、バス等)、自動車賃貸業、旅行代理店事業者、文化・娯楽サービス事業者(博物館、美術館、動物園、植物園、水族館、公園、遊園地、公衆浴場、興行場、興行団等) 、小売事業者(土産物店等)等
■文化・娯楽サービス事業者(映画館、カラオケ等)、小売事業者(雑貨店、アパレルショップ等)、対人サービス事業者(理容店、美容室、クリーニング店、マッサージ店、整骨院、整体院、エステティックサロン、結婚式場、運転代行業等) 等
⑩上記の事業者に対して、商品・サービスを提供する事業者
食品・加工製造事業者、清掃事業者、業務委託契約を締結しているタクシードライバー・バスガイド・イベント出演者、卸・仲卸、貨物運送事業者、広告事業者、ソフトウェア事業者 等
給付対象とならない事業者
下記の場合は給付の対象となりません。
■ 事業活動に季節性があるケース(例:夏場の海水浴場)における繁忙期や農産物の出荷時期以外など、通常事業収入を得られない時期を対象月として、緊急事態措置又はまん延防止等重点措置の影響により事業収入が減少したわけではない場合。
■(対象措置とは関係なく)売上計上基準の変更や顧客との取引時期の調整により対象月の売上が減少している場合。
■ 地方公共団体による対象月における休業・時短営業の要請に伴う「協力金」※の支給対象となっている事業者。
※ 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して措置している協力金
■ (対象措置とは関係なく)単に営業日数が少ないことにより対象月の売上が50%以上減少している場合。
■月次支援金は、店舗単位・事業単位でなく、事業者単位で給付します。そのため、事業者の全ての2021年の月間売上が、2019年又は2020年の同月比で50%以上減少している必要があり、特定の店舗・事業のみ月間売上が50%以上減少したとしても給付要件を満たしません。
給付額
給付額は下記の計算で算出されます。なお、支給上限があります。
給付額=
中小法人等:20万円/月
個人事業者:10万円/月
受付期間
■4月分と5月分:2021年6月16日~8月15日
■6月分:2021年7月1日~8月31日
■7月分:2021年8月1日~9月30日
申請方法
申請の流れは下記の通りです。対象月ごとに申請が必要ですが、2回目以降の申請では「登録確認機関での事前確認」などの手続きが一部省略されます。
①アカウントの申請・登録
②登録確認機関で事前確認
必要書類を準備し、登録確認機関による「事前確認」を受けます。
TV会議・対面・電話により、「事業を実施しているか」「給付対象等を正しく理解しているか」などの確認を受けます。
③申請
事前確認が完了した後、月次支援金ホームページから申請を行います。
(オンライン申請が困難な方が利用できる申請サポート会場がを利用できます。)
必要書類
■法人の場合は、履歴事項全部証明書
■個人の場合は、本人確認書類
(運転免許証、マイナンバーカード、住民票+パスポート、住民票+各種健康保険証等)
■収受日付印の付いた2019年・2020年の確定申告書類の控え
■2019年1月から2021年対象月までの各月の帳簿書類
(売上台帳、請求書、領収書等)
事前確認では全て必要ですが、申請時は2021年対象月の売上台帳のみとなります。
■2019年1月以降の事業の取引を記録している通帳
事前確認では事業の取引がわかる全てのページが必要ですが、申請時は、通帳の表面と通帳を開いた1,2ページのみとなります。
■代表者または個人事業主等本人が自署した宣誓・同意書
■その他事務局が必要と認める書類
保存書類
■申請する時に提出は不要ですが、申請者が給付条件を満たさないおそれがある場合に、保存書類の提出を求める等の調査を行うことがあります。求められた場合は速やかに提出できるよう、7年間保存しておく必要がある書類です。
■飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を示す書類として、最終的な取引先が、対象措置実施都道府県で時短営業の要請を受けた飲食店または対象措置実施都道府県の消費者であることを示す書類を保存してください。
自らの販売・提供先との反復継続した取引または消費者との継続した取引を示す「帳簿書類」及び「通帳」
・対象措置実施都道府県で消費者向けの事業を行っていることを示す「商品・サービスの一覧表」「店舗写真」および「賃貸借契約書・登記簿」
・旅行客の5割以上が対象措置実施都道府県から来訪していることを示す「統計データ」
・対象措置実施都道府県の消費者との継続した取引を示す「顧客データ」または「自ら実施した顧客調査結果」
・自らの販売・提供先が対象措置都道府県の卸売市場または流通事業者であること
を示す「書類」
・所在地域から対象措置実施都道府県の卸売市場または流通事業者への反復継続し
た取引を示す「書類・統計データ」
最後に
この記事で紹介した内容は、経済産業省が発表している「2021年6月25日時点版」の情報です。最新情報は政府のホームページなどをご確認下さい。